中学受験算数勉強方法

先取り学習のデメリットを具体例を出して説明します。先取り学習する前に絶対に知っておかなければいけないこと。

 
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大手中学受験塾で主に算数の講師をしています。算数以外にも受験生の学習方法や進路相談などもしております。それらの業務で経験していることをお伝えしていきます。

先取り学習とは

先取り学習のデメリットについて具体的に話していきます。

ここでの先取り学習とは『通っている中学受験塾のカリキュラム内容を、親が子に先取りして学習させること』とします。

中学受験の塾に通う以上、非受験の小学生よりは先取りなわけですが、今回は、塾のカリキュラムを先取りしている中学受験生と、先取りしていない中学受験生の比較をしていきます。

※上に定義したとおり私が良くないと言っているのは『親が先取りさせる学習』です。『本人が臨み、自分で学習するなら問題ありません。』私の教え子にも、兄の中学、高校の数学の教科書で勝手に勉強して小6で数学的帰納法を理解していた子もいましたが、それについては好きにさせていいという意見です。

先取りしてパッとしない子は先取りしなかったら悲惨な成績になっていた?

先取りして6年時、偏差値50の子は先取りしなかったら偏差値35ではないか

このような勘違いをされている保護者の方は実際にすごく多いと思います。

塾講師ならわかると思いますがこの主張は間違っています。

先取りしていなかったら偏差値はもっと上がっていた可能性が十分あります。

これを下のように訂正したならあっていると思います

先取りして4年時、偏差値50の子は先取りしなかったら偏差値35ではないか

あるいは次のように訂正してもあっているケースはあると思います。

先取りして6年時偏差値75の子は先取りしなかったら偏差値70ではないか

先取り学習が特に有利になるのは次の二つのケースです。

・4年生時など、周りの学習量が多くなく、理解せずとも学習量による暗記でカバーできてしまう時期

・先取りでもしていないと退屈すぎるぐらいよくできている子

4年生のときにクラスで目立つためには先取りはかなり有効です。

それによる本人の自己肯定感の向上を狙っているなら意味はありますが、それでもデメリットの方が勝つと思います。

そんなに学習時間をとっていないのに偏差値70とっている子というのは、学習内容をすぐに理解できてしまいます。

その浮いた時間を先取り学習にあてていれば確かに成績向上が見込めそうです。

平均的な力の子は授業のカリキュラムどおりに理解していく中で余裕をつくることができません。

先取り学習により現在の学習内容の理解がおろそかになっている可能性は十分あります。

不十分なところがある子は先取りではなく、わかるところまで戻ってほうがはるかにためになります。

学習していない時間があるくらいなら先取りさせた方が成績は上がるのでは?

この主張も間違っていると思います。

問題の解き方などはどうでもいい瑣末な問題で、大事なのは勉強の仕方です。

勉強の仕方を間違えると、勉強すればするだけ将来できなくなっていきます。

受験直前の受験生の学習方法と、それ以外の学年の学習方法には根本的に違う部分が一つあります。

受験直前期ならとにかくできるようにするという学習もある程度肯定されますが、それ以外の学年の場合、根本を理解して進むことの方が、テストの答えが合っていることよりはるかに大切です。

先取り学習をする過程で、教えてもらったことを覚える学習を続けてしまうと、教えてもらわないと出来ない子に育ちます。先取り学習の一番大きなデメリットはここにある思います。

もちろん、先取り学習をしていなくても、そういう子になる可能性はありますし、先どりをさせる親が塾講師顔負けの教育方法だったらうまくいく可能性があります。

ただもっともよく見るケースは、先取りがうまくいっていないケースです。

算数の問題で具体例を挙げていきます。

先取り学習でうまくいっていない具体例

つるとかめが合わせて30匹、足の数は76本あります。かめは何匹いますか。

上の問題を、周りの子はつる30かめ0から1つずつ調べている中、面積図を使って答えを出せるように仕込まれた子はどうなるでしょうか。

おそらく周りの子に圧倒的な差をつけて正解すると思います。

それが次の問題になるとどうでしょうか。

つるとかめが合わせて30匹、足の数はつるの方がかめより12本多いときかめは何匹いますか。

『つるかめ算は面積図で解く』と覚えていた子はこの問題については別の解法を覚えなおそうとします。

新しいことを教えてもらい覚えるという学習をしてきた子にとってこれは新しい問題です。

もちろん全員ではないですが、30匹と0匹から調べていた子はこの問題でも問題なく解いてきます。

根本を理解しているので応用が効く子が出てくるわけです。

もっと手前で考えるとかけ算の筆算もそうです。

27×31を計算しなさい

筆算は先取りしている子が多いです。

そういう子になんで筆算できるのか聞いて答えられることはほとんどありません。(答えられる子こそうまく先どりできている子と言えるでしょう)

27×31とは27が31個あると考えれば、27が30個と1個あるのと同じとわかります。

なので筆算がつかるんだなと理解しているかどうかの方が、かけ算の筆算の答えがあっているかよりよっぽど大事なわけです。

27×64+27×36

こういう問題になった時に、かけ算の筆算のやり方を覚えた子は今度は分配法則を覚えるわけです。

しかし先ほどのように27が30個と1個と考えても同じとわかっている子は、

27が64個と36個だから27が100個と考えても同じとわかります。

もちろん先取り学習の際にそこまで考えさせればうまくいきます。

それであっても授業中の集中力は落ちがちなので気をつけたほうがいいです。

毎回先取りしてきて、俺知ってるから大丈夫と油断しているけど、授業の最後には一番できなくなっている子、たくさん見ています。お子様は大丈夫でしょうか。

まとめ

以上のように、先取り学習にはデメリットもあります。

・先取り学習のせいで、やるべき学習に取り組む際の時間や集中力が減少している

・学習の仕方を間違えやすく、それが今後の害になりやすい

本当にその先取りが必要か考えて、今すべきことに力を入れてください。

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