計算の工夫が算数で最も大事だという話
こんにちは。TANUKIです。今回は計算問題のテクニック、計算の工夫についてお話します。
計算の工夫をしようというと「そんなこと考えるより普通に計算した方が早い」という子がいます。
その子は「かけ算をするくらいなら全部足した方が早い」と思っているのでしょうか。
また他のことに例えるなら「自転車に乗る練習をするくらいなら歩いた方が早い」と感じるのでしょうか。
計算の工夫は修得までは時間がかかりますが、一度修得してしまえ 圧倒的に計算が速く、正確に、ラクになります。さらにいうと計算が楽しくなります。
中学受験の算数は計算コンテストではありません。
計算機になることをめざすのではなく、計算を通じて思考力をつけていきましょう。
この記事で3つの法則
「分配法則」「結合法則」「交換法則」について基本的な部分をかなり厚く書いています。
中学受験に必要な計算の工夫をすべてまとめたものはコチラの記事です。
【保存版】計算の工夫 一覧 中学受験算数の計算問題で必要な計算の工夫をすべて紹介します。
内容はより高度ですが、受験で即使える内容なので併せてご確認ください。
さて突然ですが18×17はどう計算しますか。暗算でできる範囲にもよりますがいろいろな計算方法があります。
方法1
18×17=18×(10+7)=18×10+18×7
=180+126=306
かけ算の筆算と同じですがこれは分配法則を使っています。
方法2
18×17=6×3×17=6×17×3=102×3=306
交換法則と結合法則を利用してます。
方法3
18×17=17×18=17×(20-2)
=17×20-17×2=340-34=306
分配法則メインですが交換法則も使ってます。
主な計算の工夫は3つの法則を利用するものです。
交換法則、結合法則、分配法則です。
この3つの法則を使いこなすことが小学3年生、4年生の計算の目標です。
低学年のうちにそういった習慣がついている子は、計算が速く性格になるだけじゃなく、高学年になったときに数の性質や比の単元に苦労なく入ることもできます。
先を見据えた勉強方法を心がけましょう。
1、交換法則
足し算やかけ算で使える交換法則です。
順番を入れ換えても計算は成立するというもので、とても便利です。
小学三年生だとこんな感じです。
48+79+52
5×13×2
上の例は79と52の順番を入れ換えて計算することで48と52で100がつくれます。
下の例では13と2を入れ換えて計算することで5と2で10がつくれます。
小学五年生だとこうでしょうか
1/3+2/17+2/3
6×3.14×1/3
上の例だと1/3と2/3で1をつくることで通分がいりません。
下の例だと先に6と1/3をかけておくと計算が圧倒的にラクになります。
計算の順番を代えることでラクになるケースはたくさんあります。
少しハイレベルな話ですが引き算やわり算でも計算記号ごと交換すれば交換法則が成立していると考えることもできます。
三年生だと
147-58-47
147+58-47
58と47を入れ換えると成立する場合と成立しない場合がある。
上はそれでもいいけど下はだめです。
なので必ず計算記号ごと交換しましょう。
上の例だと147から58を引くより先に、147から47を引く
下の例だと147に58足すより先に、147から47を引く
四年生だと
148÷37÷2
148×28÷37
上の例では先に148を2で割ってから37で割る方が易しいでしょう(こちらはそこまで変わりませんが)
下の例では148かける28をする前に37で割ることができます。(割りきれない場合もあるので判断が必要です)
引き算わり算は少しハイレベルですので、まずは足し算かけ算から交換しましょう。
ちなみに分数を習ってしまえばわり算はすべてかけ算に出来ます。
2、結合法則
分配法則とごっちゃになりがちですが結合法則とは足し算かけ算で使える法則で、3個以上のものを足す場合に後ろから足してもいいよというものです。
交換法則とよく似てますね。
7+8+2=7+(8+2)=7+10=17
7×4×5=7×(4×5)=7×20=140
です。
交換法則でも同じことができますね。(厳密には交換法則は二つのものをいうので先程の例は結合法則なのですが3つで交換可能の方が小学生には理解しやすいかと思われます)
じゃあ結合法則はなにがすごいのか、それは結合法則を反対に使って分解することにあります。
98+79の計算で79を分解して2+77にします。すると98+2+77=100+77
足し算もいいですが、かけ算がとくに大事です。
12×25 12を3×4に分解して、
3×4×25=3×(4×25)=300
これは定番の利用法ですがめちゃめちゃ強力です。
次のようにも利用できます。
18×15=18×5×3=90×3=270
19×16=19×4×4=76×4=304
かけ算って1桁かけるのと2桁かけるのでは難易度が段違いですよね。
3桁×1桁より2桁×2桁の方が難しいです。
結合法則を使えばその計算がなくなる分、圧倒的にラクになります。
またこれを意識するメリットは計算だけでなく、数をかけ算で分解するという思考が身に付きます。
素因数分解は5年生で大きく差がつく分野です。
3年生や4年生の頃から無理なく練習できるのはとても魅力があります。
結合法則を積極的に使うことを自信をもってオススメします。
3、分配法則
計算の工夫といえば分配法則というほどよくあるタイプで、どこの塾でも学校でも必ず学習します。
この法則は知らないと時間がかかるだけでなく解けない問題も存在します。
83×19+17×19 などの例です。
分配法則は式の形だけでなく文章題から理解するとよいでしょう。
同じクラブの19人から83円ずつ集めましたが、もう少しお金が必要になり、さらに追加して17円ずつ集めました。合計いくらお金は集まりましたか。
のように文章にする練習をするとよいでしょう。
結局19人から100円集めるのと同じなのです100×19=1900円 といった感じです。
ばらばらに計算しても解けるのですが圧倒的にラクなのは分配法則を使った場合です。
学年が上がるとこんな例もあります。
半径4cmで中心角120度のおうぎ形Aと半径1cmで中心角120度のおうぎ形Bがあります。
Aの弧の長さはBの弧の長さより何cm長いですか。
Aの弧の長さは
直径×3.14×分数
8×3.14×1/3
Bの弧の長さは
直径×3.14×1/3
2×3.14×1/3
引き算すると
8×3.14×1/3-2×3.14×1/3
=(8-2)×3.14×1/3
=6×3.14×1/3
となり小数のまま計算できるようになります。
また分配法則でしか解けない問題もあります。
□×3+□×17=480 の□に共通してあてはまる数はいくつですか。
左の式は□20個分になりますよね。
□×(3+17)=480
3+17=20
480÷20=24
わり算の場合は注意が必要です
135÷15+45÷15
135÷15+135÷5
上は先に135と45足してから割ることができますが下は15と5を足してから割ることはできません。
文章題にしてみたら考えられますし、分数を習ってしまえばあたりまえなのですが、少々ハイレベルで間違いやすいので使わない方が安全な気がします。
ちなみに冒頭で触れたようにかけ算の筆算はすべて元は分配法則です。
そういったところを意識して筆算を学習するかただ丸暗記するかで違いが生まれていきますよ。
以上が計算の工夫で使える3つの法則とその利用の仕方です。
この考えを基礎にしてさまざまな計算問題にあたることで格段に精度や速度が変わります。
特に結合法則は他の子と大きく差をつけられるのでオススメします。
ぜひ工夫できる力をみにつけてください。
ここまでは3つの法則に焦点を当てた記事でしたが、こちらに受験に必要なものすべてまとめています。