中学受験算数勉強方法

私立中高一貫校の魅力 なぜ公立中学に行かずに中学受験をするのか

2021/12/13
 
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大手中学受験塾で主に算数の講師をしています。算数以外にも受験生の学習方法や進路相談などもしております。それらの業務で経験していることをお伝えしていきます。

なぜ私立中高一貫校に進むのか

自分が地域の公立中学に普通に進んでいるが、旦那さんまたは奥さんが私立中高一貫校を卒業しているため、子どもの進路で悩んでいるという方、夫婦は公立中学だが子どもが受験をしたいと言い出した方などが対象です。

なぜ私立中高一貫校に進む子どもが増えているのか、その理由をお伝えしていきます。

私自身は大手中学受験塾で長年勤めていた経験があり、中学受験を志すご家庭のお話もよく耳にしていたので、そのあたりのことをまとめたものです。

大学進学に強い

一番多い理由は大学進学に有利であるということです。

特に将来進学したい大学の系列の私立中学に入学できてしまえば、外から入塾するより圧倒的に入りやすいです。

一般で受験する場合でもはるかに状況は違います。

高校受験がないおかげで最初から学習を大学受験に照準を合わせられるのはかなり大きいです。

最初から高校受験の出題範囲を気にしなくていい分、関連する高校生内容の話も中学の時にされていきますし、授業のペースを速くできれば、中学生のうちに高校生分野まで学習するカリキュラムの学校も少なくありません。

大学受験を考えると高校受験のロスは大きく、公立中学からの高校受験組は追い上げなければいけなくなります。

これを一番の理由とされる方がやはり多いように感じます。

大学受験を考えたときに私立中高一貫校が有利なのは間違いないですが、それなら公立中学+塾通いでもある程度、頭と要領のいい子なら上手くいくでしょう。

私はそれよりもっと大切なことがあると感じていて、そのように感じられる保護者の方も多いと思います。

受験勉強とは違う教養を身につけられる

高校受験がないこと、6年間通う前提であることは教育カリキュラムに大きな利点があります。

その中で学校独自の視点で考えられた教育を受けられるということは最大のポイントです。

授業で扱った小説、それに出てくる場所に実際に赴き小説を追体験し、そこで得た新たな発見を共有する国語の授業

高校2年生が中学生に授業をすることで、理解していたつもりになっていた部分にもう一度向き合える数学の授業

生徒自身が使う薬品や実験器具、実験方法を考えて実践、成果を発表する化学の授業

そんな授業が受けられる中学があると聞いたとき本当に驚きました。

授業だけではありません。

班に分かれて時間や方法を調べ、電車や新幹線を乗り継いで行く現地集合の修学旅行

コース料理を食べるときのテーブルマナーの学習→実践

など生徒自身が卒業した時に得られる経験が、公立中学出身者には得られないものです。

同じ大学に進学していても、得られている教養ははっきり違います

もちろんそれを家庭でできるのであれば公立でも何も問題はないでしょう。

ただそれぞれの専門家を呼ぶにも費用がかかりますし、それをご両親だけでできる家庭がどれだけあるのか、少なくとも私が自分の娘にそれをできるとは到底想いません。

中学によって内容は大きく異なり、大学受験に最初から力を入れている私立中学もあるとは思います。

そのあたりの部分は学校説明会や文化祭などの行事でぜひ見てきて欲しいところです。

学校のカリキュラムにそこまで目立った特徴がなくても、男女別学、宗教教育が大きな理由になっている場合もあります。どちらも私立中学を選択するのに大きな意味のあるポイントと言えるでしょう。

男子校女子校宗教校についてはこちら

私立中学ならではの魅力 男子校 女子校 宗教校 に進学するとどんないいことがあるのか

学習も部活も施設が充実している

学校図書館、天体望遠鏡、実験室という学習施設や、ナイター設備のあるグラウンド、50m室内プール、パイプオルガンなど公立中学にはない施設がたくさんあります。

やりたいことがあるから受験をする という子どもも実はとても多いです。

小学校の習い事でできることはたくさんあると思いますが、どうしても行動範囲が限られたり、行動時間が限られたりするものです。

中高一貫校でないと思いっきり取り組みたいスポーツや芸術分野も、高校受験で中断することになります。

本をいっぱい読みたいから受験する

部活を思いっきりやりたいから受験する

どちらかというと子どもが言い出すことですが、受験のきっかけには十分です。

先生との関係性

高校受験のデメリットとしてよく挙げられるものに『内申制度』があります。

学校の1教師独断でつけられる不透明な評価でつけられる内申点がとれていないと希望する高校に進学するのに不利になってしまう制度です。

内申点を盾に、までいうと言い過ぎかもしれませんが、公立中学では言うことをきかない生徒は内申点を下げるということができるのです。

私立だとその手は使えません。

生徒を動かかすのは規則ではない他の何かになります。

それがなにかは先生によって違うでしょうが、信頼だったり興味だったりなんらかの方法で子供たちを学習に向かわせる工夫が必要です。

私立中学は教育内容がよくないと生徒が来なくなり、経営が成り立たなくなります

先生も様々な工夫を凝らして毎日の学校生活に取り組んでいます。

また、そういいた背景もあり学校の先生が生徒を一人の人間として尊重している関係のところが多いです。

そのため生徒も先生と話をする機会が多くなります。

公立中学の先生が「勉強を教えてくれる存在」だとしたら、私立中高一貫校の先生は「学びたいことをサポートしてくれる存在」というイメージです。

特に難関校ほどその傾向が強く、自立した学生が多く育ちます。

そういった学校の卒業生と話をすると、同じ大学生でも自分より目上の人との話し方がよくわかっているように感じます。

先生が変わらない

公立の先生と違い、私立中学の先生は転職、退職等ない限り異動もあまりないことが特徴です。

その学校の理念を理解し、そこでの卒業生を毎年見てきている先生の経験はとても頼りになります。

前述のようにいい関係性で6年間見てもらうことができます。

周りの同級生が優秀

受験をして入学しているだけあって、周りの同級生が優秀な率は高くなります。

本人が努力するかどうかは遺伝より環境で決まります

周りの子が勤勉なら勤勉に、好奇心旺盛なら好奇心旺盛になります。

周りとの差があんまりあると自尊心を失う危険性はありますが、ある程度、優秀な子が多い環境に身をおくことはとても大切です。

とくに友達の影響で何かを始めるようなことが多い子はどんな子と今後友達になるかわからない公立中学より環境を整えてあげたほうが良いでしょう。

またあまり悪いことをすると学校を退学になるため私立中学にはいわゆる不良も普通はいません。

このあたりはむしろ、両親が私立中学のご家庭が公立中学の酷さを知らないというケースがあります。

受験をしない、あるいは志望校がダメなら公立という選択をする前に、必ず地域公立中学の治安は調べてください。

兄は公立中学で、その惨状を見て、中学受験をすることにしましたという保護者の方の話を伺うこともあります。

そもそも中学受験自体に大きな意味がある

ここまで私立中高一貫校自体のいいところを、公立中学と比較して進学する理由としてきましたが、そもそも中学受験の学習自体に大きな意味があると思っている方は大勢います。

ひとつは親子で乗り越える経験です。

親と子で何かに挑戦するという経験はありますか?

大学受験はもちろんですが、高校受験にもなると子どもは親に口を出されるのを嫌う時期です。

子ども自身が受験に向き合っていく必要があります。

小学校受験はどちらかというと親の受験です。

能力差は子どもの問題かもしれませんがそこまで子ども自身の努力でどうにかできるものではありません。

親がどこまで準備できるかにかかっているでしょう。

中学受験は唯一、親と子、両方で乗り越える経験になります。

これから自立していく子との最後の共同戦線かもしれません。

合格という大きな目標を成し遂げたとき一番泣いているのはお母さんということも珍しくありません。

もちろん辛いことも多いと思いますが、その分達成した喜びはかけがえのないものになるでしょう。

もう一つは子供自身の成長です

中学受験は小学校の勉強だけでは乗り越えられません。

高校受験のように塾の授業をただ聞いているだけでもまず難しいです。

その点は大学受験に似ているかもしれません。

塾で学習してきたことを、ある程度の計画性を持って復習し身につけていく。

テストをこなしていく中で、なかなか克服できない自分の弱点と向き合いながら、ひとつひとつできることを増やしていく。

最後には志望校の特徴にあわせて自分にあった作戦で学習に取り組み合格を勝ち取る。

学習内容自体も丸暗記ではない本質的な理解が求められる分、学習とはどういうものなのかということに小学生のうちから触れることができる。

これはなかなか一人で目標なく勉強していても難しいのではないかなと思います。

小学生のうちは勉強より大切なものがあるという意見について

なにかを成し遂げるために勉強が必要なのは大人になってからも同じです。

学習自体に意味がないとは誰も思っていないでしょう。

たしかに取り組みたいそれが学校の勉強ではない他の何か具体的なものに定まっているのであれば、そちらに専念してもいいかもしれません。

ただそれは大人になってからの進路をすでに小学校の頃に決定することと同じです。

大学に行かないという選択と似ています。

もうすでにやりたいことが決まっていて、その道で挑戦したいと思えば大学に行く必要はもちろんありません。

大谷翔平や藤井聡太を低学歴だと馬鹿にする人はいないでしょう。

でももしうまくいかなかったら…

そんなことを考えたときにできるだけ選択肢を増やすために大学に進学するわけです。

中学受験も同じです。

小学校の間に勉強していることが今後の将来の選択肢を広げるきっかけになります。

やりたいことが決まっていても、出来る範囲で学習はしたほうがいいと思います。

やりたいことが特になく遊ばせてあげたいという場合、少し考えて欲しいです。

今遊んでいる遊びは本当に子どものためになっていますか。

その状態をずっと続けることになにか意味があるのでしょうか。

「友達と遊ぶ」代わりに「友達と勉強する」でも人間関係の形成は可能です。

「youtubeを見る」代わりに「算数の問題を解く」ことに楽しみを覚えることはできます。

そもそも勉強は辛いものだと誤解していませんか。

もちろんそのように育っている子もいますが全員ではありません。

努力が報われないことは辛いかもしれませんが、新しいことを知ること、新しくできることが増えることは喜ばしいことのはずです。

出来る範囲で学習して出来る範囲で受験する、そんな中学受験があってもいいと思います。

その過程で達成したい目標が生まれたらそこに向かって全力で取り組めばいいのです。

小学生のうちから勉強させられて可哀想という発言をする人は多くの頑張る小学生の気持ちをわかっていません。

彼らは可哀想ではありません。将来有望なとても恵まれた子供達です。

中学受験についてもっと詳しく知る

中学受験をしようかなと思ったら読むマンガ

漫画形式で中学受験に向かう家庭の様子がわかる書籍です。

二月の勝者の高瀬さんが作画ですね。

中学受験を考えている家庭以外にも、今後どんなことがおこるかの参考になるのでおすすめですよ。

首都圏版 中学受験案内 2021年度用

実際にどんな学校があるか探してみてください。

紙面ですべて調べられるのはやはり便利です。

6年間通う学校です。調べすぎて損はないでしょう。

受験情報はこちら

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