算数 約分 忘れはミスじゃなくて理解不足、分数の単元で最も大切な約分を攻略する
分数の計算で差がつくのは
「約分」「分数小数変換」「帯分数」の利用です。
その中でも今回は最も点数的にも差がつく「約分」についてお伝えします。
この記事の内容
約分はうっかりミスではないという話
「約分を忘れた」という経験は誰しもありますが、それをミスで片付けてはいけません。
約分への意識がまだ身に付いていないと考えるべきです。
私自身、算数の問題は人より多く解いていますが、人間ですので間違えることはあります。
というかケアレスミスばかりして生徒に指摘される日々です。
しかし約分を忘れるという間違いはまずありえません。
6年生の上位の子にも同じことが言えます。
普段はどんな子でも多少計算ミスはしますが、約分をし忘れる子は限られてます。
約分忘れはミスじゃないのです。
約分が身に付いた子は約分されていない分数が書いてあると違和感を覚えるようになっています。
二つの数が分母と分子のように並んでいる時に1以外の公約数がある状態が気持ち悪いのです。
その意識を持つための約分のコツと練習方法を紹介します。
約分のコツ
約分のコツは2つです。
「すぐ確認できる3つの数は毎回確認する」「素数のかけ算を利用してほかの素数で割れないか考える」
これで9割以上の約分は解決します。
最初は意識的に3つの数で約分できるか確認するようにする
約分を身につけるためには強く意識して練習を繰り返す必要があります。
とくに約分を忘れるうちは必ず次のことをチェックするようにしましょう。
①2で割れるか(一の位に注目)
②5で割れるか(一の位に注目)
③3で割れるか(各位の和が3で割れる)
まずはこの①~③を意識して繰り返し練習しましょう。
このパターンを強く意識することで多くの約分忘れを防ぐことができます。
例1 次の分数を約分してください
$$\frac{48}{112} $$
1の位が偶数なので2で割れますね。
ちなみに今回は2で割ってから、さらに2で割ることができます。
例2 次の分数を約分してください
$$\frac{57}{84} $$
57も84も10の位と1の位の合計が3の倍数になります(ここでは両方共12)
その場合は3で割れるので3で約分できることになります。
例3 次の分数を約分してください
$$\frac{35}{120} $$
1の位は必ずチェックです。5の段はいつも1の位が5か0でしたね。
5で約分することができます。
例4 次の分数を約分してください
$$\frac{45}{165} $$
この二つ以上の数で約分できることもよくあります。
今回では5で割れるだけでなく3でも割ることができます。
ほかの素数で約分するために素数のかけ算を利用する
ほかによく狙われるのは7、11、13、17などですが、もっと大きな素数で割らなければいけないこともあります。
そのときは素数のかけ算を利用するのがポイントです。
例 次の分数を約分しましょう
$$\frac{65}{117} $$
こういった約分はなかなか手が出ない子が多いです。
分子が5で割ること、分母が3で割ることには気がついても二つを同時に割る数が思いつきません。
こういうときに素数のかけ算が役に立ちます。
分子の65が5で割ることに気がついたなら
65=5×13だとすぐにわかります。
もし65が約分できるなら5で割るか13で割るかの2択です。
試しに分母を13で割ってみると
117÷13=9
分母も分子も13で割れることがわかったので、
$$\frac{5}{9} $$
このように分母分子の片方だけ素数のかけ算にすれば約分は難しくありません。
ハイレベルな例
$$\frac{328}{1558} $$
とりあえず2で割って
$$\frac{164}{779} $$
としてからは手が出ない子が多いです。片方だけでも素数のかけ算で表します。
164が2で割ることに注目すると
164=2×2×41
164は2と41でしか割れないが779は2では割れないので41で割れないなら元の分数は既約分数になる。
779÷41=19なので41で約分できるとわかった。
$$\frac{4}{19} $$
ここまで複雑な約分は普通の計算問題ではあまり出ないですが、素数に対する強い意識をもつことで約分忘れは0にできます。
約分されていない分数に違和感を持てるようになりましょう。
約分の考え方は分数を習う前にすでに学習している
実は分数を習う前に、すでに約分の考え方は学習済みです。
60000÷1200
こういった計算です。
このまま筆算しちゃう子もいますがもったいないです。
60000÷1200=600÷12
と0は同じ数だけとることができました。
これは小学校でも触れると思いますが「0をとる」という認識は大きな誤解を生みますね。
正しい認識は「100で割った」です。
÷の前後の両方の数を100で割っても商は変わらないのです。これって約分と同じですよね。
60000÷1200が無事に600÷12になったわけですが、約分が割り算で使えるなら10や100以外で割ってもいいですよね。
両方とも2で割る数なので
600÷12=300÷6と出来てしまいます。これなら暗算も簡単です。
このように割り算(あまりを求めないもの)は約分の練習にもってこいです。
初めて割り算を習ったときから心がけたいですし、約分を習ってからでも遅くないので、割り算で積極敵に約分してみてください。
【裏技】約分できる数をすぐに見つける可能性の高い方法
これはちょっと原理はハイレベルな話(中学受験では出題されますが)なのですが、知っておくと簡単です。
分母分子の差の約数でしか約分はできません
$$\frac{48}{60} $$
$$\frac{34}{85} $$
$$\frac{323}{361} $$
上の3つで試してみてください。
特に一番下は平方数を覚えていない場合は自力で19を見つけるしかありませんが、差が38だとわかると38の約数の19にすぐに注目できます。
この方法は便利なのですが、便利すぎて練習にならないので練習段階ではあまり使わないほうがいいような気がします。
私の授業ではある程度身につけてから理由とともに見せています。
まとめ
約分は分数の計算で最も差がつくところです。
必ず身につけてください
- 計算方法が身についても計算ミスをすることはあるが、約分忘れは約分を身につけたらほとんど0になる
- 分数を見たら必ず2、3、5で割るかはチェックする
- 分子分母の簡単な方を素数のかけ算で表すことで約分がみつけやすくなる
- 約分は分数以前にわり算の単元で身につけることができる
- 分母と分子を引き算するという裏技もある
約分が身に付いたかぜひ確認してみてください。
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