中学受験算数勉強方法

小学校ではよくできる子、小学校でもできない子

 
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大手中学受験塾で主に算数の講師をしています。算数以外にも受験生の学習方法や進路相談などもしております。それらの業務で経験していることをお伝えしていきます。

こんにちは。TANUKIです。

今回は小学校ではよくできる子が中学受験塾ではぱっとしないという内容についてお話します。

中学受験塾にいるほとんどの子は小学校ではよくできるんですが、一番下のクラスになると、『小学校ではよくできる子』と『小学校での学習についていけない子』が混在しています。

「小学校ではよくできる子でも中学受験はレベルが高いから、または特殊だから上手く行かない。小学校での学習についていけない子はなおさらだ。」

と思われるかもしれませんが、実はこれ正しくないです。たまたま同じクラスに正反対の2つのタイプの子がいたので例をあげてお伝えします。

一人目は れなさん(仮名)

この子は5年生の夏頃から始めたんですが、小学校では成績表もすべて◎、テストもほぼ100点の子です。中学受験の偏差値は入塾時で35、受験直前には40超えることもあったんですが6年の平均値は38ぐらいでした。

面談や相談を受けるたびに小学校ではできるのにという話を聞いていましたが、本人を見ていればその原因はすぐにわかりました。

「とにかくやり方を覚えようとする」というところです。学校のテストは最近習った問題しかでません。学校の授業をしっかり聞いていて、先生の言うとおりにすべて覚えれば点数を取ることができます。

れなさんは単元のテストは比較的できる子でしたが、模試になるといつも取れない子です。

典型的なやり方覚えただけで時間が経てば忘れるというタイプ。文章題の数字が式のどの位置に来るのか覚えているだけの学習です。

とにかく理由を意識させるようにしていきましたが、覚える学習で上手く行きすぎてしまっているせいですぐにやり方を知りたがる、覚えようとする。

天才的な記憶力があればそれでも上手くいってしまうのかもしれませんがそこまででもなかったんでしょうね。

本人の志望校は第2志望のところ(偏差値42)にはなんとか合格できたのですが、学習観を大きく変えるには至らなかったです。

二人目は りょうくん(仮名)

入塾タイミングは遅く5年の秋。この子は学校でもめちゃめちゃ成績が悪い子でした。テストも通知表もボロボロで入塾時の成績は、科目によっては滅多に見ることのできない偏差値10台のときもありました。トータルでは25ぐらいです。授業中も聞いているか聞いていないか分からない、トイレにもしょっちゅう行く、ただ座っているだけの子です。

正直この子は絶対無理だと思いました。

とりあえず保護者の方と面談の機会を設けて授業中の様子を伝えたのと、「分からないことがあったら授業中のその場で聞いてください、周りに同じ疑問を持っている子は必ずいるので大歓迎です」ということだけ伝えたら、それを正直に受けて、授業中分からないと感じたらすぐ聞くようになりました。

元々は明るい子だったようでそこからは、よくしゃべる。なんでこうなるのどうしてこうなるのというのをよく質問していました。

その過程で気がついたのが、りょう君は「先生に言われたことをよくわからないまま使ってみる」ことがすごく苦手な子でした。学校での成績がよくないのもよくわかります。

反対に、理由がわかったことは周りの子に引けを取らなかったです。自分で授業中に質問をすることで、自分で理由がわかるようになり理解度は格段にあがったように思います。

すごく驚いたのが、上位生には教えるも使いこなせる子は多くはいない計算テクニックを教えられずに身につけていたことです。

420÷35=840÷70と計算する偏差値20台の子を見たのはこの子が初めてです。同じクラスの子達はポカンとしていました。

それから算数だけ偏差値が上がって、偏差値が国語25算数45なんていうときもありました。

6年生の平均偏差値は35ぐらいでしたが後半で一気に伸びていたので、偏差値40後半の力はあったと思います。最終的にれなさんが不合格だった学校(偏差値45)に合格しました。偏差値的には大逆転です。

「小学校の成績が悪い子は中学受験塾なんてもってのほか」というのは大きな間違いだとわかった経験です。

「小学校での成績がいい・悪い」にはいろんなタイプがいます。小学校の先生は子どものコントロールのプロだと思います。が算数のプロではありません。優秀な先生もいるのかもしれませんが、中学・高校の先生になるような人の方が算数、数学が得意な気もします。

そんな先生が算数を教えると、その場の問題のやり方さえわかればいい、テストさえできていればいいという授業になりがちなのかもしれません。はじき で速さの公式を覚えるも それに代表されるものでしょう。

少なくともれなさんを見ているとすごくそれを感じました。またそれが苦手なりょうくんのような子も、やり方が違えば上手くいくんだとわかりました。

小学校の成績がいい子でも悪い子でも関係ありません。すぐに通うかは別として、中学受験の塾の無料テストを受けてみてください。理由をつねに考える正しい学習観を身につけてほしいです。

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大手中学受験塾で主に算数の講師をしています。算数以外にも受験生の学習方法や進路相談などもしております。それらの業務で経験していることをお伝えしていきます。

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