中学受験のために方程式を覚えても上手くいかない理由
たまに中学受験の○○算を覚えるくらいなら方程式を教えた方がいい という主張をされる方がいます。その方が将来も使えると。
方程式が近い将来使えるのは間違いありません。そして中学受験の文章題をすべて方程式で解けるくらいまで習熟すればその先よっぽど難しい問題が出てきても対応できるでしょう。
ただしそこまで方程式を極める意味はあるのでしょうか。
中学受験の問題は方程式で解けますが、問題に合わせて特殊算を使い分けた方が明らかに速く解けます。
また方程式より特殊算を使えるようになるほうがはるかにラクです。
方程式は公立の中学の並の子が解けるようになるので勘違いされがちですが方程式が解けるまで2年間じっくり中学で学習しています。2年間方程式だけやるわけではないですが、正負の数や項の概念から始めないと理解が曖昧になるので想像以上に大変です。また計算問題以外で方程式を使おうと思ったら立式の練習も必要です。その際に中学受験用のテキストは難しすぎます。通常方程式を学習する際は立式しやすいような問題設定にして少しずつ複雑にしていくものですが、中学受験用のテキストは○○算を使えば簡単に解けるような設定になっているため方程式で解くにはレベルが高いわけです。つまり方程式で解けるようにするには
1まず中学のカリキュラムに沿って中学生用のテキストで方程式を学習し、
2その上で中学受験用のものに挑戦する必要があります。
ただ、方程式を学習するだけでなく分数や比、割合、速さなどの概念に触れていきながらです。とにかく先取りでやることが多くなってしまうのです。当然ですよね、順番が違うんです。
そこまでしてやっと習得した方程式は中学受験ではそれほど役に立ちません。学校側はわざと方程式では解きにくい問題を出題します。これは学校側が「先取り学習をしている子」がほしいのではなく「今知っていることを最大限活かせる子」がほしいからと言えます。
これは塾で先取り学習を推奨しない理由ともいえますね。まだ学習のなんたるかをわかっていいない子は「他の子より知っている」ことを自慢します。小学2年生がわり算できると自慢するように、小学4年生が分数得意と自慢するように。(逆にそういう子は大人はみな自分より頭がいいと思っているので扱いやすい子であったりします)
先取りは悪いことではありませんがお子さまのそういう態度に心当たりがあるならやめた方がいいかもしれません。実際先取り学習していてもそういったそぶりを見せない子は高い成績をキープします。ただ中途半端な先取り学習は、授業の前半の基本部分は知っているから舐めきって聞いていないのに、後半の応用になると沈黙するタイプの子になってしまう子を作ってしまうかもしれませんよ。
中学受験では四則混合逆算や特殊算で方程式でも解けそうな問題を多く学習しますが、方程式ではなく、小学生らしい解き方を身に付けましょう。
(私の教室にも知恵が回らないときは方程式で問題を解く子がいます。その子は算数の偏差値だけなら毎回模試で70越える子で、数学が好きなので高校受験を目指す兄と一緒に高校入試の問題集で身につけたらしいです。)