受験算数を攻略する

中学受験算数 「 速さ 」の全体像 速さの問題のあらゆるパターンを解説(旅人算、時計算、通過算、流水算、など)

こんにちは。TANUKIです。今回は「 速さ 」という小学校の算数のド定番、中学受験でも大きな影響がある単元についてのまとめ記事です。

 

 

中学受験における 速さ という単元の位置づけ

多くの受験生が苦手とする単元で、毎年多くの受験生が速さに苦戦しています。解法を覚えて終わりで済みにくい単元で様々なパターンの問題がつくられることが原因に感じます。

①基本的な道のりと時間の関係が分かる

②特別なシチュエーションでの速さの問題におけるポイントをそれぞれおさえている

③様々な問題の物語を状況整理して、速さの計算をすることができる

④同距離や同時間に注目することで比を用いることができる

この4つのポイントをおさえているかが大切です。

上位性も最後まで苦戦する単元の一つと言えます。ぜひマスターしてきましょう。

 

①基本的な 速さ の考え方 道のりと時間の関係が分かる

時速8kmの速さで7時間走ったとき、何km先までいくことができますか

一人に8個ずつみかんを配ります。7人に配ったとしたら全部で何個必要ですか。

速さだからと恐る必要はありません。上の2つの問題は同じです。

どちらも1人分の個数と1時間分の道のりからそれが7つあるとどうなるということを考えるだけの話です。

時速8kmの速さという言葉の意味が「1時間で8km進む速さ」ということさえわかれば速さの公式など不要です。

つまり

速さの変な公式(はじきなんて呼ばれているものもありますよね)に頼らずに、まずは道のりと時間の関係が比例を使って計算できることが一番大切になります。それさえわかってしまえば、速さの単位換算も簡単に理解することができます。

こちらの記事で速さの公式暗記はやめましょうという内容を載せています。

改めるべき学習方法。頭が悪くなる速さの公式

②特別なシチュエーションでの 速さ の問題におけるポイント

基本的な速さの関係を理解した後に、理解したいこととして、速さの考え方が出てくる様々な場合についてです。

他に仕事算やニュートン算も含めてもいいかもしれませんが一般的な分類だとこの4つのパターンが多いです。

旅人算は二人が同時に動く時の考え方です。二人同時に動くせいで一人の時と同じように考えると□を使った計算や方程式でないと処理しにくくなります。それを克服したのが旅人算で、「二人の間の距離がどれだけ変化したかに注目してみよう」という考え方です。文章題のほかの単元でいうと差集め算に近いですね。上にテキトーに重要度というのを全部合わせて100%で振ってみましたが、ほかの○○算とは比較にならないくらいに重要で頻出です。

時計算は時計が動くときに2つの針の間の角度について考える問題です。時計算自体は旅人算がわかっていればすごく簡単です。時計の針は忘れ物をとりに引き返したり、休憩したり、急いだりしないからです。ただ時計算の問題を解くだけならコツさえわかればとても簡単なのですが、本当に大事なのは角速度の考え方自体です。長さではなく1分間に何度回転するかを考える考え方そのものはとても重要で、難関校ではむしろそちらのほうが大切です。円周上の点の移動を考える問題でよく使わうことになります。針の速さを覚えるのではなく求められるようにしておきましょう。またシャドーの考え方もほかの速さの問題で活きますね。

時計算についての詳しい記事はこちら

時計算は速さの中でも最弱だという話

通過算は動くものに長さがある速さの問題です。電車の絵をかくことでどの部分がどれだけ動いたかを考えることがとても大切になります。流水算より少し重要度を上げたのは図形の移動の問題で重要になる考え方だからです。通過算自体はそこまで出題されませんが、ふたつの図形が時間ごとに移動して重なった部分について考えるような問題では通過算の経験が活きます。

流水算は、上り、下り、静水時、川という4つの速さをおさえることがポイントになります。その際に「上りも下りも川の速さが変わらないこと」「川の速さが変わっても静水時の速さは変わらないこと」がポイントになることが多いです。難し目の問題だと「川の旅人算は川の速さは考えなくてもいい」こともよく狙われます。倍数算のようになり整理が大変で難しい問題をつくることができる単元ですが、ほかの速さの問題と違って、ほかの単元と結びつくことはほとんどなく速さ単独の出題になります。

流水算はこちら

流水算はいつも4つの速さに注目する

③様々な問題の物語を状況整理して、速さの計算をする

速さの問題は日常生活と結びついた文章題として出題されるので、状況を計算できる形に整理する必要があります。整理する方法は線分図とダイヤグラムです。線分図で簡単に済むケースが多いですが、ダイヤグラムだと図形の相似などを利用する解法もとれるので幅が広がります。ダイヤグラムを読み取るような問題も出題されるので、どちらも練習したいです。

速さを変える、途中で引き返す、休憩する、片方が遅れて出発する、ある地点で二人が出会う

など速さを単純な比例の問題だけにとどめてくれない数々の設定たちです。基本的には道のり時間速さの内2つがわかる状況が隠れているので整理して探すことになりますが、難度が高い問題だと、和と差や比、割合の関係を使わないとそれらの状況が見えないように巧妙に隠されています。

 

 

④同距離や同時間に注目することで速さの比を用いることができる

速さの単元を苦手だという上位生のほとんどはこの④でつまずいている受験生です。

よくよく考えれば当たり前なのですが同距離の場合は速さが速ければ速いほど時間は短くなります。2倍のスピードなら半分のタイムでしょう。また速さの定義を考えればあたりまえのことではありますが、同じ時間で比較した時に進める道のりの比は速さの比と同じになります。

多くはこの二つの関係が③のようにストーリーの中に隠されているので、それを整理して発見できるようにしていかなければいけません。じっと文章を見ていてもわからないことが多いです。式にしてみる、絵を書いてみる、グラフや図にしてみるということを普段から実行しながら比の関係を常に頭に入れている受験生だけが速さを攻略できるのです。こちらの記事も参考にしてください。進行グラフと比

 

以上が速さの全体像です。これ以外には速さに含めるか悩むような複合単元として、仕事算、ニュートン算のほか、点の移動、図形の移動、水槽グラフなどがあります。

 

最後に宣伝ですがよかったらこちらもご覧下さい。

九九や筆算なしでかけ算を身につける意義について

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