速さという単元に苦手意識を感じている子はとても多いです。
それを見かねた大人が「速さの公式」や「はじき」「みはじ」を教えるとのちのちに大きな悪影響が出ます。
今回の記事では「速さの公式」「きはじ」「みはじ」が与える悪い影響とはなにかということと、それではどのように学習したらよいのかというポイント、また練習用に無料問題集を公開します。
この記事の内容
速さの公式 きはじ みはじ はなぜ悪影響なのか
ここではなぜ きはじ みはじ がダメなのかを説明していますが、その悪影響を十分に理解されている方は読み飛ばして次の項目に進んでくださいね。
理解しているかわからなくなる
「速さとはどんな考え方か」全く理解しなくても、かけ算とわり算さえできれば基本問題の答えが合ってしまうことが大きな問題です。
きはじやみはじありきの解き方をしている子どもは「kmとかいてあるところの数字を拾って、時間とかいてある数字を拾って、割り算すれ答えがわかる」というルールの計算問題をしているのです。
小テストなんかも含めてテストをする理由はすべて「理解度をはかるため」です。
ですが、その理解をしなくても答えが出せる裏技を子どもが使ってくるわけです。
理解していないということに気がつくまで時間が経ってしまい、あとで取り返すのに時間がかかります。
公立中の生徒だと中学2年生になってから小5の速さが全く理解できていなかったと気がつくことがいかに多いか。
完全に無駄な時間になってしまうので、理解状況は隠さないほうがいいです。
そもそもそれで通用するのは最初だけ
小学校の教科書レベルの問題だとこれでほぼ出来てしまいますが、中学に入ればもう通用しなくなります。
中学受験塾では速さを学習する2回目の回ぐらいからすぐに通用しなくなります。
もちろん入試でも一定以上のレベルの学校の速さの問題は一問も解けないでしょう。
一定ラインにおさまる学校にとりあえず合格させるために速さの公式を
というのであれば全くなしではないですが、今後の成長は諦めることになります。
まぁ公務員試験に通るためとかであれば勝手にすればいいと思いますが、子どもの未来を大人が勝手に諦めるのはどうかと思います。
きはじ みはじ はその覚悟を持って与える麻薬ですね
今後の算数、数学の学習方針が決定してしまう
なぜ きはじ みはじ 一つでそこまでいうのか、実は問題は速さに限った話ではありません。
「てっとりばやく解ける解き方を教えてよ、それを覚えればいいんでしょ」
という学習観が形成される一助となることが最大の問題です。
速さを きはじ だけで理解した気になっている子は 二次方程式をすべて解の公式で解くようになり、三角関数の公式はすべて覚えて……と今後もひたすら覚える学習が続いていきます。
それも教えてもらうまで待っていて、大人から言われたことを一生懸命覚えてあてはめるだけの数学です。
それを修正できるタイミングが速さを学習する、今、この時なのです。
忘れた公式はすぐに覚え直せばいいですが、一度築き上げた学習観はもはや人格です。
低学年ではあまりなかった学力の差がどんどん広がっていく原因もここにあります。
きはじ みはじ は辞めましょう。
大人が教えるのは絶対にやめたほうがいいが…
ここまですべて大人が子どもに教えるのはダメだという話です。
子どもが自分で発見するのはOKです。ほめてあげてください。
数字が決まっている、ある意味特殊な問題の中から、いろんな状況に当てはまられる一般へと考えを広げられるのはとてもいいことです。
速さ学習のポイント
速さとは「1(秒、分、時間など)あたりに進む道のり」のことです。
この定義がとても大切でこれがすべてです。
すべての速さの問題がここに帰ってきます。
速さをきちんと理解するポイントは1つだけなのですが、その前に一つ前提知識として知っておかないと困ることがあります。
それが時間と単位換算です。
道のりと時間の単位換算は確実に身につける
基本単位を覚える
1km=1000m
1m=100cm
1時間=60分
1分=60秒
これらは確実に覚えていてください。
幼いうちに日常会話で仕込みましょう。
単位換算の計算方法を理解する
基本単位をおぼえたら計算方法を理解しましょう。
ポイントはいつも覚えたことに戻ることです。
①750mは何kmですか
②15分は何時間ですか
③2.4分は何秒ですか
覚えていることに戻り元の単位どうしをまずは比べましょう。
1000m | 1km |
750m | ?km |
このように整理してしまえばわかりやすいです。m→kmのときには000がなくなるので÷1000
750÷1000=0.75kmです。
60分 | 1時間 |
15分 | ?時間 |
同じです。分→時間のときには60で割った数になります。
15÷60=0.25時間です。
1分 | 60秒 |
2.4分 | ?秒 |
同じです。分→秒は×60されています。
2.4×60=144秒です。
いつも速さの定義に戻り文章を書く
時速とは1時間に進む道のり
分速とは1分間に進む道のり
秒速とは1秒間に進む道のり
のことです。
いつもこれに戻ることで速さや時間、道のりを考えていきます。
①40分間で8km進むのにかかる速さは時速何kmですか。
②分速60mで2kmの道を歩くのにかかった時間は何分何秒ですか。
③秒速20mで走る列車が4分間で進む道のりは何kmですか。
見た目は全部整数ですが結構くせものを揃えました。
いつも定義に戻ります。
40分 | 8km |
1時間(60分) | ?km |
40分で8km進めるという関係がわかったので表に書きました。
時速なので1時間(60分)で何km進めるかを考えたらいいわけです。
40÷8=5なので5でわりましょうか、60÷5=12km/時
1分=60秒 | 60m |
何分何秒 | 2km=2000m |
分速60mなので1分(60秒)で60m進めるわけです。
秒とmがちょうど同じでわかりやすいですね。
ということは2km(2000m)進むにも2000秒かかるはず。
2000秒なので33分20秒
1秒 | 20m |
4分(240秒) | ?km |
秒速20mなので1秒で20m進める
240秒なので240×20=4800m
kmに直して4.8km
以上のように整理しながら考えていくと速さは難しくないです。
整理はして欲しいですが計算法は自由です。
今は3題とも左右の関係を利用しましたが上下の関係で解いても問題ありません。
もちろん抵抗がなければ、小数や分数を使ってといてOKです。
ただ毎回かけるのか割るのかその理由をしっかり考えることが大切です。
それを繰り返しているうちにここまで丁寧に書かなくても自然とできるようになります。
速さの公式? 知らなかったけどまぁ当たり前じゃない?
という出会い方が理想ですね。
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